台湾のJiading湿地の行政判断に対する要請文を提出

台湾 高雄（カオシュン）市のJiading湿地に対し、環境再評価（環境アセスメント）がされ、湿地を分断するような道路建設を推進するかのような評価が下されました。

Jiading湿地は、クロツラヘラサギの飛来地であり、クロツラヘラサギをはじめ多くの生き物にとって重要な場所です。

（足環付きのクロツラは、これまでにS90, S98, T69が観測されています）。

これに対し、事務局SPOONメンバーがクロツラに出会うきっかけとなったSAVE（Spoonbill Action Volunteer Echo）から、台湾のJiading湿地の行政判断に対して要請文を一緒に出してくれないかと呼びかけられ、SPOONからも要請文を出すこととしました。 SAVEホームページはこちらです。 https://saveinternational.org/

台湾 高雄（カオシュン）市のJiading湿地は、クロツラヘラサギをはじめ多くの生き物にとって重要な場所ですが、高雄市によって環境再評価（環境アセスメント）がされたようで、以下の2つの決断が下されそうになっています。

①現在Jiading湿地の重要度は、3段階中最も重要度の低い「地域的重要湿地」に指定されているが、この重要度はこれ以上上げない。 ②湿地の境界は写真のように変更される。

この決定がされると、クロツラにとって重要な湿地が分断されるような、1-4道路という道路が建設される可能性があります。

SPOONは、会員約170人に対して要請文提出について呼びかけました。

反対する人は一人もおらず、結果、SPOONとして要請文を提出することが出来ました。

SPOONとしては以下2点を主張しました。

①Jiading湿地は「地域的」重要湿地ではなく「国家的」重要湿地として評価されるべきである。 ②1-4道路の建設は鳥たちを邪魔するだけではなく、地域の経済発展を邪魔するものであるため、建設するべきではない。

少し長いですが、全文（日本語と英語）を記します。

（和文）

SPOONという日本に住む160人の人々によって構成された任意団体です。私たちはクロツラヘラサギファンの組織で、国際的研究の一環として足環を付けられた個々のクロツラヘラサギの情報を共有しています。

SPOONは2015年の1月にクロツラヘラサギの認識度を上げるため、さらには福岡アイランドシティ野鳥公園の計画を変えるために結成されました。われわれのビジョンは、自然のなかにいるクロツラヘラサギと繋がることにより、人々が心の中に自然を持つことができるようになる、ということです。これによって、人々と自然との距離は近くなり、エコロジカルな都市開発と地域経済の発展が実現できると考えています。現在われわれは、東アジアの人々とクロツラヘラサギをつなぐことで、その人々をつなぎ、個人スケール、国スケールでエコロジカルな思考の構築を目指して活動しています。

SPOONのメンバーはこれまで東アジアにある様々なクロツラヘラサギの生息地を訪れてきました。それは韓国のインチョン、日本の福岡、そして台湾のジアディングです。私たちは2015年の4月にこのジアディングを訪れ、そこで開催されたエコツーリズムワークショップに参加し、そこで産業、文化、自然資源を調査しました。

ワークショップを通じて、私たちはジアディングの街が水のシステムと産業的に、そして文化的に非常に深い関係にあることに気づきました。例えば、産業でいえばその土地の豊かな海産物を生み出している漁業があり、文化でいえば水の神を祭った神社や伝統的な船の木の模型作りがありました。そしてさらには、JIADING WETLAND YOUTHという素晴らしい地元の若者たちとも出会うことができました。これらすべてが日本から来た私たちを魅了しました。そして、これらを支えているのはJiading湿地なのです。この湿地がこの地域における水質、人々の活動、さらにはクロツラヘラサギを支えているのです。

Jiading湿地はクロツラヘラサギの生息地であるだけではなく、コウノトリ、ハヤブサといった絶滅危惧種や、コアジサシ, カラシラサギ, アカハラダカ、Grey -faced Buzzard –Eagle（ワシの仲間）, ミサゴ、 Besra Sparrow Hawk（ハイタカの仲間）,カンムリワシといった珍しく、価値のある種アカモズ, Eastern Collared Pratincole（ツバメチドリの仲間）といった保全・保護が必要な種、シロチドリの大きな群れの生息地になっています。

これらの理由より、Jiading湿地は「地域的」重要湿地ではなく「国家的」重要湿地として評価されるべきであり、また、1-4道路の建設は鳥たちを邪魔するだけではなく、地域の経済発展を邪魔するものであるため、建設するべきではないと主張します。

（洋文）

This is SPOON, a voluntary organization consisting of 160 people living in Japan. We are an organization of spoonbill lovers and we track and share information about individual Black-faced Spoonbills that have been tagged as part of cross-national research project which includes scientists in Japan, Korea and Taiwan.

SPOON was formed in January 2015, to increase recognition of Black-faced Spoonbills in Japan and to help change the outcome for Fukuoka’s Wild Bird Park on Island City. SPOON’s vision is to incorporate nature into people’s lives by enabling them to have their own avatars in the wild. We believe the relationship between nature and people will ultimately become closer and we recognize that their link to nature will help enable implementation of ecological urban planning and local economic development. Concurrently, we are working to create the connection between East Asia and Black-faced Spoonbills so that it will link people of different countries in the spoonbill’s flyway to one another, and establish an ecological foundation at an individual and country-wide scale.

The members of SPOON have visited major spoonbill habitats in East Asia, such as Incheon in Korea, Fukuoka in Japan, and Jiading in Taiwan. And as for Jiading, we participated in an Eco-tourism workshop that was held there in April 2015. During that time we surveyed the local cultural, industrial and natural resources of Jiading.

Through the workshop, we discovered that Jiading was a place in close relationship with its water system, industrially and culturally. As for industry there was fishery that supports a huge variety of sea food, and as for the culture, there was shrines representing water gods and model ship making. And we also met amazing young people there, the Jiading Wetland Youth. All of these assets attracted us foreigners. But of course, what supports these to exist was the Jiading Wetlands. Wetlands supports the water quality of this area and the all the human activities around Jiading, and also supports a big population of Black-faced Spoonbill.

It is not only a habitat for Black-faced Spoonbill, but for endangered species such as Oriental White Stork, Peregrine Falcon, rare and valuable species such as Little Tern, Chinese Egret, Grey Frog Hawk, Grey -faced Buzzard -Eagle, Osprey, Besra Sparrow Hawk, Crested Serpent Eagle, and other species needing protection and conservation such as Brown Shrike, Eastern Collared Pratincole, and an unusually large population of Kentish Plovers.

For this reasons Jiading Wetland must be NOT evaluated as wetland of “local” importance, and must be evaluated as “national” importance. And at the same time, the construction of the Road 1-4 will be disturbance to the birds and also for flourishing of local development and economy and must not be developed.